2009/01/01 21:56:38
続きの続き(笑)。
チビチビと、話が進む…かも(^-^;)
チビチビと、話が進む…かも(^-^;)
★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・
私をバスから降ろそうとするヤツの手は、
セーラー服の襟に通していた紐を
セーラー服の襟ごと引っ張っていた。
瞬間的に力強い力で引っ張られた紐は、
思いの他、あっけない。
「ちょっ、手を離して。
紐が切れちゃう…!」
一気に乗客の視線を集める。
「へ?! おっ、俺?!」
私をバスから降ろそうとするヤツの手は、
セーラー服の襟に通していた紐を
セーラー服の襟ごと引っ張っていた。
瞬間的に力強い力で引っ張られた紐は、
思いの他、あっけない。
「あっ…」
『ブチッ★』
『チャリン、リン、リン、リン…』
「鈴?!」
私はすかさず床に座り込んで
両手でそっと包む。
「おっ、お前、それ…」
「あっ、これ? とっても可愛いでしょ? これはね…」
「降りるぞっ! 急げ!!」
あんなに乱暴なヤツの姿を見たことがなかった。
力加減をすることなく、私の手首を引っ張り、
力加減をすることなく、私の手首を引っ張り、
私をバスの外へ引きずり出す。
バスは下車まもなく次の停車場に向けて出発した。
この瞬間、ヤツと私だけが
外界から切り取られる。
「ちょっと、これ、見せてみろ。」
「えっ? やだ! これは『大切な人』の…」
私の台詞を遮るように、ヤツは瞬時に私の手からもぎ取る。
ヤツが今、手にしているのは
あの夜、「彼」から受け取った“クリスマス・ベル”。
とっても可愛いので
クリスマス会にと、持ってきたのである。
ただ、…私はこのベルを「2つ」持っている。
1つは、「彼」が私の肩に載せてプレゼントしてくれたもの。
もう1つは、「彼」が貸してくれたサンタスーツのポケットに入っていた
「彼」の忘れ物。
2つはとてもよく似ている。
同じ品物と言ってもよいほどに。
でも、違う…気がする。
“ベル”が奏でる音色が…。
大事な“クリスマス・ベル”を見詰めて
ヤツは顔色を変えた。
いつもになく真剣な表情―――――。
「返してよっ!
これは、私にとって
とってもとっても大切なものなんだからっ!!」
ヤツの手から有無を言わせずむしり取る。
ヤツの目をキッとにらむ。
すると、引きつったヤツの表情が
幾分か緩んだ。
「ごめんな…。ビックリさせちまって。
これなんだけど…」
ヤツが言い終わる前に、言葉を被せる。
「ごめん★ あと2分で部活が始まっちゃうっ!
また、後でね…」
バス停から学校までは、約250mの坂道が続く。
ヤツを置き去りにし、一人で駆け出す。
何だか、嫌な予感がした。
ヤツの台詞を最後まで聞いてしまったら、
この大切な“ベル”を手放さなくてはならなくなる…、
そんな予感が…。
・・・
★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・
・・・
切り取られた「空間」から抜け出して、
私は坂を駆け上がる。
ヤツは、その空間に
一人取り残された。
少しずつ、歩みを進めようとするヤツに
歩み寄るのは、同級生の小泉紅子である。
「昨日と言い、今日と言い…
面白いものを見せてくれるわね。」
「うぁ、あっ、紅子じゃねぇか?!
一体どこから…?」
「あら、気付かなかったの?
私、あなた達が乗っていたバスに
一緒に乗っていたのよ?
フフッ…、あなたらしくもない。
そうよね。あの子と一緒では
それどころではないか…。」
「どっ、どういう意味だよ?!」
「私の力を持ってしても成し得なかったことを
彼女はいとも簡単に…。
中森さんもそうだけど、
彼女も
何か神秘的な力を持ち合わせているのかしら?
興味深いわね…。妬ましいほどに。
…でも、運命を強く引き寄せる彼女の力も
今回の難局をいかに回避せしめるのかしら?」
「…?!」
「今更驚くことでもないでしょう?
私は科される『代償』と引き換えに、
“全て”を思うがままにできる力を手にする。
あなたの行動の一部始終を甕の水面に映して見たり、
彼女の近い未来を水晶玉の中に垣間見たり…。
昨夜のあなたの軽率な行動で
アウトサイダーだった彼女を完全に巻き込んだわよ。
交わるはずもなかった、あなたと彼女の運命の糸…。
それらは完全に錯綜し、お互いを縛り付け、
魔の手から逃れることすらできなくなってしまっている。
…今や、
あなたの運命は彼女が握り、
彼女の命運はあなたが握っている。
あなたが彼女を野放しにしておけば、
彼女は今夜、…命を、落とす破目になるわよ…!」
「…!!」
「さあ、よくよく考えてみるのね。
彼女の命を救う方法を…。
そして、あなた自身がこの難局を切り抜ける手段を。
まあ、私は彼女のことをあまり知らないし、
彼女がどうなろうと構わないけれど…。
あなたにとっては、どうなのかしら??
…今日は、あなたがどう行動するか、
すぐ近くで見届けさせてもらうわよ。
幸運を祈っているわ。 黒羽君…。」★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・
運命の時が迫る江古田高校に
光の矢が放たれようとしていた。
「中森警部ですか? 白馬です…。」
「おおっ! 君か?!
君が捜査に協力してくれるので、いつも本当に助かっておるよ。
昨日はあと一歩のところだったのに、
惜しかったなぁ。」
「…結局、彼に“ベル”を持っていかれてしまったのですから、
負けは負けですよ…。
それより、お願いしていた件についてですが…。」
「…っ、おお! 昨日のことか…。
それについては、だなぁ…。」
「“身内”のこと、内密に行きたいことは
重々分かりますが、僕はこれが
単なる過失には思えないのです…。
怪盗KID追跡時の発砲―――。
警部は指示されていらっしゃらなかったのでしょう?」
「いやっ、それは…」
「まず、指示を無視して発砲してしまった警官が一体誰だったのか、
必ず洗い出してください。
信じたい気持ちはよく分かります。
でも、僕は冷静に振り返り、ある可能性を感じているのです。
昨日、発砲した人物は
警察官を装った犯罪者である…という可能性を…。」
「なっ、何だって?!」
「僕の勘が正しければ、
“ベル”を狙っていたのは、気障な怪盗さんだけではありません。
日本警察の目を欺き、のうのうと暗躍する黒い影…。
昨日、我が物にできなかったものが
まだ巷に転がっているとすれば、
奴らはまた、姿をあらわすことでしょう。」
「…うっ、よし。 分かった。
早急に、内々の対策本部を立ち上げることにしよう。」
「それは頼もしい…。
…しかし、このことは推測の域を出ません。
対策本部の立ち上げ、難しいでしょうね…。」
「では、どうしろと…」
「あくまで大げさになさらないほうがよいでしょう。
このことは、中森警部はじめ、数人の方のご協力がいただければ
事足りることです。
一高校生でしかないこの僕の、
戯言にお付き合いいただけるのなら
“黒い影”の存在を、どうか追い続けてください。」
「もしや、そいつらとKIDに何かつながりが…!?」
「さすが、中森警部。
僕も、そのことが気になっていたのです。
このことについては、2つのことが考えられます。」
「ん? というのは??」
「1つは、KIDの後ろ盾、
もしくは所属団体ということ…」
「もし、KIDにそんな仲間がいるとしたら、
ますますややこしいことに。
しかし、わしにはそんな風には思えんがなぁ…」
「中森警部、それについては
僕も同意見です。
昨日の射撃は、とてもキッドへの援護には見えません。」
「それじゃあ…」
「そう。
もう1つ考えられるのは、その者らがKIDの商売敵ということ。」
「それじゃあ…」
「そう。
もう1つ考えられるのは、その者らがKIDの商売敵ということ。」
「商売敵?!
つまり、そいつらもビッグジュエルを狙う盗賊ということか?!」
「…そうです。
KIDは盗んだ宝石をことごとく殴り捨てています。
KIDは盗んだ宝石をことごとく殴り捨てています。
危険を冒して手中にしたものを、あんな易々と…。
もし、KIDが組織に所属しているとすれば、
盗み出した宝石を組織に貢がざるを得ません。
彼に、そんな素振りは見受けられますか?」
「いや、ヤツが盗み出したものは、
どこからともなく持ち主の下に帰ってくるケースが多いなぁ。
…まあ、稀に帰ってこないこともあるが…。」
「警部…。
彼には、…何か“目的”があるように思えるのです。
“私服を肥やす”という下賎な目論見とはほど遠い、何かが…。」
「ふ~ん。 わしには
あの神憑り的な力を見せ付けて、
世間の人々をからかっているようにしか見えんがな…。」
「フフッ。 確かに、彼は
警部をからかっている節が見られるようですね。」
「ゴホゴホッ!!
はっ、白馬君?!」
「冗談ですよ。
それより、
僕は、妙な胸騒ぎを感じるのです。」
「んん? 一体、どんな?」
「近い内に、その黒い影は
KIDに接触を図るのではということです。
もちろん、“商売敵”として…!!
相手は
昨日の手口から見て、
昨日の手口から見て、
手段を選ばぬ残虐性を秘めているといってよいでしょう。
このままでは、
KIDは白い翼どころではなく、命さえももぎ取られかねませんよ…。」
「しかし、一体どうすれば…」
「どうもできません。
事はまだ、何も起こっていないのですから…
とりあえず、引き続き“ベル”の捜索を続けてください。
僕は、気になることがあるので
僕なりに追ってみます。
もし、何か分かりましたら
中森警部に一番にお知らせしましょう。」
「いや! それでは、今度は白馬君の身が危なくなる。
気持ちはありがたいが、それは警察の仕事。
白馬君には、…」
「分かっています。
でしゃばった真似などしません。
ただ、“偶然”手がかりに出くわすこともありますので、
その折にはぜひ、力をお貸しください。
それでは…。」
「はっ、白馬君?!」
白馬は、一方的に受話器を置く。
白馬は、一方的に受話器を置く。
「僕としたことが、
告げなくてもよいことまで…。
ばあや、今日は今から学校に行ってきますよ。
今日はクリスマス・パーティがあるそうで。 楽しみです…」
★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・
・・・くそっ!
★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・★☆★・・・
『いい事を教えてあげる。
今晩、あなたの元に輝矢と闇矢が差し向けられる…。
あなたを射抜こうとする2つの力。
さて、あなたはその2つを避け切れるかしら…』
・・・くそっ!
なぜ俺は、あの“ベル”を持ち帰らなかったのか…
いや、持ち帰ったつもりだった。
『本物』の“ベル”は…。
ところが、大地が持っていたのは
俺が奪ったはずの『本物』。
俺としたことが、とんだミスを…。
紅子が言う摩訶不思議な力を信じるか否かはさておき、
あの“ベル”をアイツが持っているところを
公然たるバスの中で
公然たるバスの中で
たくさんの人の視線にさらしてしまったことは
致命的だ…!!
俺がまだ手放していない“ベル”が
見える場所に転がっているとすれば、
手をこまねいている奴らじゃないっ!
昨日、俺の左腕を打ち抜きやがったヤツが
まだこの辺りをうろうろしていたとしたら…、
もし万が一、そいつがあのバスに乗っていたとしたら…。
大地だけじゃない、
江古田の生徒全員を巻き込んで
大騒ぎになってしまう…
一体、俺はどうすればいい…
教えてくれよ、親父…!!
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