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「キャー！！　下着泥棒よ～！

　女子テニス部の更衣室に

盗みに入ったヤツがそっちへ行ったわーー！」

 

「ねっ、青子？

　廊下が騒がしいわね。

　一体何があったのかしら？？」

 

「イエス・キリスト生誕の、この神聖な日に、

　傍若無人な行動に出る無礼者と言ったら、

　アイツしかないでしょ？

　恵子、ちょっと行ってくるっ！！」

 

「なるほど、黒羽君ね。

　ハイハイ、いってらっしゃい☆」

 

モップを持って廊下を疾走するのは、中森青子である。

 

リンリンリンリン――――…

 

「くぉらあっ！！　エロ快斗ぉ、

　神妙にお縄につきなさいっ！！！」

 

「ちょっ、ちょっと待てっ！！

　俺はただ、人を訪ねてだなぁ…」

 

「でも、私が更衣室に入ったときに

　黒羽君、ロッカーの扉を開けていたわよ！」

 

「げっ！　そ、それは…」

 

「はは～ん…。これは、決定的な証言ね。

　さあ、正直に吐きなさい！！」

 

「ぅ、うぇ～…」

 

「そうじゃないでしょっ？！

　自分のやったことを正直に認めなさいという…」

 

「はいはい、分かりました、お奉行様…。

　あっ？！　あんなところに…！！」

 

「えっ？！　何々？？？」

 

『パンッ☆』

―――モワモワモワ…

 

「ゴホゴホゴホッ！

　煙球？！　猪口才な真似をっ！！

　逃がさないわよ！　快斗ぉ！！！」

 

リンリンリンリンリンリンリンリン…―――

 

「ふぅ…。　アイツがいない隙に“ベル”をこっそり…と思っていたのに、

　この大怪盗を以ってしても上手くいかないとは。

　難攻不落とはこのこと。　女子更衣室、恐るべし…！！

　…っは★

　そんなふざけたことを言っている場合じゃなかった！

　次の手を講じなければ…」

 

リンリンリンリンリンリンリンリン…―――

『ガラガラガラッ！！』

 

「見ぃつぅけぇたぁわぁよぉ…！！

　さあ、さあ、さあ―――
　黒羽快斗、覚悟っ！！」

 

青子は

持ち上げたモップを
容赦なく振り下ろす。

「わぁーーーーーーーー！！

　ごっ、ごめんなさーーいぃ★」

今やここまでと腹をくくったものの、
やってくるはずの一撃は、一向にやってこない。

「…、えっ？」

 

「ま…、まあ

　反省しているなら、良しとするか。

　どうやら、盗られた物は何もなかったようだし…」

 

「ははぁーー☆

　観音様、青子様、どうもありがとうございますぅっ！」

 

「はぁ～あ、情けな…。
　ところで快斗っ！
　いつまでふざけたことを言ってるの？

　今日は手伝いに来てくれたんでしょ？

　クリスマス会開始まであと4時間しかないのよっ？

　今回のメイン・イベント

『江古田の怪盗キッドによる大マジックショー』の準備、進んでるの？？」

 

「あっ？　あ゛ーー！！　そうだった★」

　

「ちょっ、ちょっと？！　大丈夫なの？」

 

「う～ん、それが…」

 

リンリン…

 

「んー？　さっきから鈴のような音が付いて回ってるような？？

　青子、お前…」

 

「ああ、これよ！」

 

「こっ、これは…！？」

 

「うん、これね。
　今朝、お父さんからもらったの。」

 

「中森警部から…？」

 

「『もう必要ないから』、だって！

　こんなに可愛いのにね☆」

 

「青子、お願いがあるんだけど…」

 

「えっ？　何？？」


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