2009/08/13 17:12:53
どうでもよい、続編。
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今のところ確認できるのは、
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今のところ確認できるのは、
頭部裂傷ならびに打撲、それに伴う若干の意識障害。
…急性頭蓋内血腫に至っていないといいのだが。
加えて、胸部、腹部の無数の打撲、そして内臓損傷の疑い…。
「ホームズ。 深呼吸、・・・できるかい?」
「・・・っ! ガハッ★」
右腹側部を押さえた。 これは・・・
「痛いかもしれないが、我慢だ。」
「ウググッ・・・★」
肋骨骨折。3本、いや4本・・・。
完全には折れていない。 内臓を圧迫させないようにしないと・・・。
ここまでで考えても、今すぐにでも病院に搬送するのが望ましい・・・!!
しかし、ホームズはそれを拒んでいる。
何か特別な事情を抱えているんだろう。
それに、私は約束した。
最後まで責任を持って処置すると。
私は、彼の意思に精一杯・・・応えたい!
打撲を起こした患部は、炎症発症、血腫形成、組織回復の過程をたどる。
外部からの強い衝撃により、
皮下組織の下にある筋組織または靭帯が部分断裂し、小血管から内出血。
内出血を起因として、酸素を供給する血液不足に陥り、患部が酸欠状態に。
放っておけば、患部の炎症が深刻に進み、強い腫れと発熱を引き起こしてしまう。
炎症を抑え、痛みを取るには、患部を冷やして代謝を抑制し、酸素の消費量を少なくすることが必要・・・。
1秒でも早く患部を冷やしたいが、いかんせんこの部屋には氷が無い。
・・・! そうだ、ハドソン夫人☆
彼女に氷を調達してもらおう。
とりあえず、タオルを水に浸して…。
「ホームズ、悪いが君のお気に入りのコートを切らせてもらうよ。」
引出しからナイフを取り出す。
ソファの背もたれに寄り掛かる彼の体重を、自分の左肩にすべて移す。
そして、コートの襟脚にナイフを入れて、
裂け目から思い切りコートの背中を左右に引き裂く。
ジャケット、チョッキ、シャツ・・・、
同様に引き裂くと、シャツの袖のボタンを外して
4枚の上衣の右半分を腕から一度に引き抜く。
ところが、何かが引っ掛かった。
元々筋肉質な体つきをしているのに、
服をしつらえるときに、わざと余裕のない型にするから・・・!!
結局、コートから1枚ずつ引き抜く。
すると、シャツの袖の上から革製のホルダーが腕にくくりつけてある。
「犯人は、これか・・・」
中身が何か気にはなるが、今はそれどころじゃない。
ホルダーのストラップをナイフで切り、勢いよく投げ捨てる。
左も同様に服を引き剥がす。
「もう少しだ、ホームズ。
もう少し、我慢してくれよ。」
そう言いながら、再びソファの背もたれに彼を預けた。
「・・・、さすが元軍医。 緊急処置に手慣れている・・・」
瞼を閉じたまま、呟く。 やはり、意識レベルが低いのか。
「患者が君じゃなかったら、この2倍の速さでできるのにな。」
「・・・それは、どういう・・・?」
「いつもは小憎らしいほど凛とした君が
今や、自力で姿勢が保てないほどに衰弱している。
元軍医だった僕でも、一番の親友の痛々しい姿は直視できないよ・・・!」
私としたことが、大失態だ!
目の前の患者の精神状態を波打たせるような発言をしてしまうなんて。
ここに立って、一番苦しいのは
彼のはずなのに。
くそっ! 私はまだまだ修行が足りないようだ・・・。
「・・・ありがとう・・・」
「・・・??」
「『一番の親友』に命を救ってもらえるなんて、光栄の至り。
この巡りあわせに、・・・今更ながらに感謝したい・・・」
「・・・。」
これ以上は、話せない。目頭がすごく熱いんだ。
この続きを話してしまったら、医者としての緊張感を完全に壊してしまうことになる。
「これから、ハドソン夫人に氷の準備をお願いしてくる。
君は氷漬けだぞ! ホームズ!!」
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